2014年12月29日月曜日

Stag Horn Ring : No.015

『 Mukuro Oni 
Material : Stag horn , Brass , Ebony
Size : 25



一年以上ぶりの鹿角指環です
無事お客様へお引渡し出来たという事で
投稿公開しますです

前作「蔵王権現」を御注文頂いたお客様からのリクエストで
お題は鬼のスカルリングでした
鬼もスカルもシルバーリング界では 
擦られ捲くっている題材ですよね
その中でキラリと光る一本にする為には・・・ 
オリジナリティ 
作家性を試されるモチーフな訳です 

こんなのを妄想





私は某三流大卒の雇われライター
名前は伏せときます

書いてる記事は心霊や怪現象とか
ほら、コンビニなんかで売られている
恐怖お蔵入り映像とか
その手の胡散臭い単発心霊雑誌で燻っている
売れないライターなのです

先週編集部に
神隠し=連続失踪事件について
実人物名、地名入りで克明に書かれた
送り主名のない封書が届き
下っ端の私がネタの裏取りの役目を押し付けられ
この平成の御時世に祈祷お払いを生業とする
現役のシャーマンを取材する為に
手紙に記された東北の某山中腹に位置する限界集落まで
半日かけて遥遥やって来た訳です

目の前には齢九十は超えているであろう
現役のシャーマンだという老婆が座っています

早速神隠しの概要からと
取材を始めようとした矢先
おもむろに
四代前のシャーマンより代々口伝され続けて来たという
凡そ神隠しとの関連性が見出せない
ある事象について話し始めたのです 


その病を最初に発症したのは
成人したばかりの村の若者だった 

症状は風邪と同様 
発熱に倦怠感 
次第に節々の軋みと肺に熱い痛みを感じ始め
三日の後には身体中の肉が隆起し 
あからさまな骨格体躯の変容が起こり 
高熱で皮膚は発赤し意識が混濁 
一人では床から起き上がれなくなってしまった 

そして五日の後
遂に前頭部の頭蓋が隆起し
一対の角状の骨隆が皮膚を裂き現れたのだ

村人達はそれを「鬼憑き」と呼び
救いようの無い流行り病と恐れられ
七日の後には身体の変容に耐えられず
亡くなってしまった若者の遺体は 
人が寄り付かぬよう山林に棄て置かれ
腐肉を剥ぎ亡骸を地に返さんと群がる
烏や狗や蟲やらが
瞬く間に
若者の遺体を覆い隠したそうだ 

十日の後
野晒しでは辛かろうと
不憫に思った若者の父様が
皆が止めるのを振り切り 
息子の遺骨を埋葬すべく山林へ向かったが 
骨片一つ見つける事が出来なかったそうだ・・・ 


そして目の前の老シャーマンは話し続けました 
これは流行り病なぞではない 
正に「鬼憑き」なのだと 

現世に漂う鬼の気は
気まぐれに血肉を纏った身体を欲し若い人間に憑き
自らの具現化を試みる 
しかし人間は肉体の変容に耐え切れず 
息絶え野晒しと朽ちるものの 
九日目には骸の鬼と成り
現世を彷徨いながら 
鬼に転生する日を待つのだ
と言うのです

「鬼憑き」事件以降
件の山林周辺では
身の丈八尺半超えの赤黒い人影が目撃され始め
神隠しは鬼憑きで人外のモノに変容した若者の仕業
と実しやかに噂されるようになり
その後も毎年幾人かの
「鬼憑き」を発症する若者が現れ
人口減に拍車をかけたという事でした


老シャーマンの取材を終え
他の住人にも話を聞いておこうと家を訪ねて廻り
気付くともう夕刻

これから下山となると
真っ暗な山道を数時間歩かなきゃならないし
噂の人影に出くわしたらたまったもんじゃない(笑)

今日は無理せずシャーマンの婆さんとこにでも泊めてもらおう
何しろ村に着いた頃から妙に熱っぽくて

風邪か・・・

え?

まさか・・・

鬼憑き 



なっ! 
長ぇ-よ!話がよ! 

という事で
(何がよ?) 
鬼への転生を待つ骸鬼状態の 
鹿角指環を彫りますよ! 


鹿角です
金属ではないので破損リスクの軽減を考えると 
どうしても角の意匠は太短くしてしまいがちになります 


Front view
Side view : right 
Side view : left 
Rear view 


Size : 25 

またもや銘は「死水」です

今回象嵌する目は「猫目」にするので
こんな工程で進めます
2mmの真鍮線にV字の溝を彫り 
↓ 
溝の真中辺りにピンバイスで0.5mmの穴彫り 
↓ 
0.5mm穴に嵌まるガイド付きの瞳孔パーツを 
黒檀で作成し接着します

V成形しただけの瞳孔パーツを 
そのまま真鍮線の溝に接着するよりは 
こんな小さなガイドがあるだけでも 
脱離防止効果は高まります 


で、ドーム状に成形すれば
猫目状瞳孔の完成です
黒目パーツは白目に少し沈む様に嵌めてます
これで白目と黒目の境界に段差が出来
黒目の周囲に虹彩の如き陰影が現れます


共箱と一緒に
相も変わらずへタレな箱書(涙)
慣れませんなぁ・・・


おぉ・・・なかなかの禍々しさよ
鹿角指環「骸鬼」完成です 

お待たせ致しましたー

やっぱ指環彫りは楽しいやねー
また彫りましょうね


2014年12月22日月曜日

Small articles : No.021

提げ 『獅子玉
素材 : 鹿角、真鍮、黒檀、菩提樹の実


以前彫った獅子の緒締
基本的に小さいコロコロしたのが好きなので
よし!また作っちゃおうと
先月末の「火消婆」完成後に続けて彫り始めていたのですが
気が付くと緒締として売るにはどうなの?
ってくらい手間を掛けてしまい・・・

同時に鹿角指環も彫り進めていたり・・・

で、やっと完成まで漕ぎ着けた獅子玉なので御座います

では行ってみましょ


鹿角です
いっ・・1.5頭身!


六面図
背中に何か・・・ありますね?


緒締のつもりで製作していたので
上下に貫通する紐穴も形成していたのですが
色々考えたうえ提げに変更しちゃったので
紐穴に通すポスト付きのバチカンを鹿角で製作し
その端は菩提樹の実を真鍮のピンで固定する事に・・・


セットするとホラ!
菩提樹の実を抱えた玉獅子になったヨ♪


バチカンは渦巻き現れる宝珠です


後姿では男の子なら大体二つ装備されている
立派なタマタマを拝見して頂けます


と言うように
今回の獅子は色々と「玉」を意識した作りとなっておりまして
全体のフォルムも玉っぽくコロンとさせています


提げるとこんな感じに
紐通しには鹿角製のバチカンを設置しましたので
チェーンを通して頂けるとペンダントヘッドとしても使えますです


色んな「玉」をてんこ盛りー♪
提げ「獅子玉」完成です

なんか色々手を掛け過ぎて愛着が湧いてしまい
手元に残そうかと思うものの・・・

背に腹は代えられずで
結局Galleryへ向けて旅立ちます
ステキなオーナーに愛でてもらってね(涙)


2014年12月20日土曜日

緒締 其ノ拾

蛸徳利
素材 : 鹿角、黒檀


さて、根付「晦蕎麦」とセットになる緒締を考えます
やはり蕎麦繋がりにしたいなと手長足長をまじまじと見ていると
蕎麦アイテムが一つ足りない事に気付きました

そうです
蕎麦徳利
お蕎麦のつゆが入った徳利です

更にもう一個乗っけます
ネットで手長足長絡みのネタ探しをしていると
足長の足元に絡みつく蛸を手長が解いている
という妖怪画がありまして
蛸イタダキ!


大晦日の寒い寒い浜辺
二人羽織に熱中する手長足長の目を盗み
空になった蕎麦徳利に隠れようとする蛸さん
でもそれは無理
蛸壺じゃないのだから・・・

そんな緒締を合わせますよ!


六面図
根付に合わせて濃いめの染めに


至水印の蕎麦徳利にスルリと足を入れてみる・・・


蛸足八本絡まってますねぇ


二人羽織でウキャウキャやってる手長足長の様子を
上目遣いで伺いつつ
蕎麦徳利潜入を試みる蛸さん


徳利に納まる気満々
緒締「蛸徳利」完成です

京都清宗根付館収蔵となりました

おぉ!来年から通年会館になるのですね!
行ってみてぇぇぇぇぇっ


根付 其ノ肆拾玖

『晦蕎麦』
素材 :鹿角、黒檀

これは・・・
もう懐かしさすら覚え・・・ますね

九月の終わり頃には完成し納品も済んでいたのですが
今月色々と確定し公開する事と相成りました
で、製作順のナンバリングも前後しちゃってます

ちょうど「夏猫」を彫ってる時
ふっと頭に浮かんだ
「二人羽織で蕎麦をたぐってる手長足長」
根付のネタは大体がこんな感じで降って来るもので
イメージを膨らませてこんな妄想を・・・


大晦日
二人羽織でつごもりそばを食べようと言い出す手長に
「それは面白い」と乗り気の足長
早速両目を瞑り蕎麦をたぐりだした手長だったが
勘が悪いのか一向に足長の口に入らない?
それもそのはず
いたずらな手長は片方の目をしっかり開き
足長の鼻めがけて蕎麦を運んでいたのだ!


では、彫りましょ
鹿角です
モック無しの勢いで彫り進め・・・
つじつま合わせのスリルが味わえます(汗)


六面図
今回の染めは濃い目です


背面
アンティークっぽいという寸評を頂いたそうで
古根付の皮を被ったコンテンポラリー・・・です!
なんて言ってみたり
(超後付けっぺー?)


悪意しかない無邪気な手長
イジラレまくる純粋朴訥な足長


サイズはこんな
長めでしょ?
手長足長 + 長~いお蕎麦の長い根付
「長い」繋がりで長寿祈願の隠喩も盛り込んじゃうよ!


ん?
隣の小っさいの・・・何だチミは?
コレ、手長足長に合わせた緒締のタコさんなのです


これからの年越し時期にぴったりな
根付「晦蕎麦」完成です

手長足長さんは京都清宗根付館収蔵となりました
年明けに展示される・・・かも?かな?