2016/03/17

Small articles : No.032

提げ 『キジムナー ・ てぃーち
素材:胡桃、鹿角、黒水牛角



昨年の11月30日
テレビを見ながら昼食中の至水の目に飛び込んできたニュース速報

水木しげる御大の訃報

唐突すぎ

死なんて
御大は此の世の理の外に居られる存在と
勝手に信じて疑う事は無かったのに・・・

御注文品をじりじりと彫り進めていた至水でしたが

衝動的に
こりゃ何か妖怪彫らねばと

気付けば小振りの胡桃を手に取り
キジムナーを彫り始めておりました



普段使っている三陸産鬼胡桃とは違う
北海道道南の自然採集モノの小さな胡桃



六面図
ころっころと落ち着きのない形状なので
鹿角の台座に鎮座させております



キャッキャッ♪
足の裏もプリティなキジムナー



ころころころっとキジムナー

御大の四十九日までには仕上げようと思っていたのですが
完成したのが 1月20日と微妙に期限オーバーしてしまい・・・
その罰でしょうかねぇ
完成した翌日の朝に異常な右目の痛みで涙止まらず
朝一で眼科に駆け込み診てもらうと
微細な胡桃の切削片が瞼の裏に張り付いていたという
そんな逸話付き
(体じゃないよ実話だよホントの話!)



提げるとこんな感じ
丸っこいね




我家のガジュマルにキジムナー降臨
やっぱりキジムナーにはガジュマルが良く似合うわー♪
この写真撮りたさにガジュマルの鉢を購入した至水さん(汗)



御大追悼な作になりました
提げ「キジムナー」完成です

嫌な知らせが続きました

今年ニ月
至水に多大なる影響を与えてくださった
偉大なるクリーチャーメイカー韮沢靖氏の訃報

2016年はなんて年の始まりだと
喪失感はんぱなく一日中涙に暮れておりました
会った事もない方の死にホントに涙が出た
少し驚いた
それだけ大きな存在だったのだなと
改めて痛感致しましたよ

しかしながら水木御大逝去の報には
それとはまた違った感情が・・・

喪失感は無い

何故なら絶対妖怪総大将に転生されている筈だから

「あーなんかキジムナー彫ってるおっさんが居るなー」


くわーっ


何所かで見てくれている事を
またもや勝手に信じて疑う事の無い至水なのでした



追伸
このキジムナー「てぃーち」さんは
幼少の頃よりずーっと妖怪を愛し続けて来られたお客様の元へ
キャッキャッ♪と旅立つ事になりました

ウチのガジュマルに次のキジムナー
「たーち」さんがやって来るのは何時でしょうかねぇ・・・



2016/03/16

根付 其ノ漆拾伍

『封雷』
素材:象牙、黒檀


一昨年の夏に製作した「咆哮」を御注文頂いたお客様より
「阿吽」で対になる玉獅子の御注文を頂きました

前回の玉獅子は「口中の肉で玉を形成する」仕様でしたが
今回のリクエストは「前脚で抱えた球の中に玉を形成する」です

これがなかなかの苦行な訳でして(汗)

でもね

行きますよ!



象牙で製作します
大きさを合わせるため
お客様より「咆哮」を御借りしました



六面図



さて前脚で抱えた玉ですが・・・

最大最強の雷撃を放ち
且つ如何なる雷撃をも封じると謂われる
雷神太鼓の革を張り込んだ「雷盾」で六面を封じた宝珠
「封雷玉」
(ふうらいぎょく)
中では極限まで圧縮封印された「雷芽」がコロコロと静かに鳴いており
開放される時を待っているのです・・・

なんて俺設定をこじつけまして

雷神の太鼓革といえば「三つ巴」の柄
三つ巴柄を透かし彫り
その透かしから玉の内部の肉で内玉を形成するという目論見です



       
こう、振るとですね
「雷芽」がコロコロと鳴く訳でございます



色んな角度から



サイズはこんな感じの小振りです
というか根付としては正当なサイズですよね
至水の普段彫ってるヤツが大きめなのです



封雷&咆哮
阿吽なツーショット♪



コロコロと鳴くは芽吹きし雷の種
根付「封雷」完成です

一つずつ 一つずつ
お待たせしまくっている御注文品を完成させる
そんな今日この頃なのです