2017年7月18日火曜日

根付 其ノ百

『 びろーん 』
素材 : 鹿角、黒檀



さて
前回の根付「火車」の投稿で予告した通り

今回の作品はブログ「悪魔ノ天秤」内の「根付」カテゴリ記事に於いて
「其ノ百」のナンバリングを与えられる記念すべき根付であると

と言うか彫り終わってから
「あ、コレって「其ノ百」じゃん」
って気付いてしまうという

気付いていたらもっとこうドーンと
百作記念!!!
みたいなの彫ってたかとも思うのですが

うん

びろーん であると

そりゃぁ
胡散臭かろうと

まぁ

実に至水っぽいじゃないですか

という事でこんなん彫りましたよ(涙)





六面図

差し根付です
根付の形態には、形彫り、饅頭、鑑蓋、柳左、等々
色々なバリエーションがありますが
差し根付は正に鹿角のために存在するような形態ですよね





もうーなんて情けない顔してんのキミは(賛辞)





サイズ的にはこんなです
差し根付なので長いのだ





びろ・びろ・びろーん





紐を通すにはちょっと華奢な足周りですが
プリティな内股にしたかったんです許して(涙)





なので「紐通しは帯上で」を推奨しますです

画像左側
腕の間の透かし裏側からループにした紐を出し
もう一方の紐の端をループに潜らせてしまう

画像右側
腕の間の透かし裏側からループにした紐を出し
そのまま頭に掛けてしまう

どちらも「捕らわれた妖怪びろーん」を再現可能です





実際差すとこんなです
装着モデルは至水ですが
ベルトに腹肉乗ってんぞ!
(因みに至水は普段シャツをズボンにINしない人です)





塩かけないで溶けちゃうの(涙)
根付「びろーん」完成です



ここで びろーん と至水の馴れ初めを

思い返せば3歳の頃
至水が通っていた保育園の蔵書のなかでも特に大好物で
母の迎えを待ちつつ何度も何度も読み返していた
三大ジャガーバックス

『SF宇宙怪物図鑑』
『いちばんくわしい世界妖怪図鑑』
そして
『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』
復刻版買っちゃいました(涙)

そうです
至水はこの本で びろーん とのファーストコンタクトを果たしたのです

室町~江戸時代に描かれた妖怪画から
映画や漫画に登場した妖怪までを
どっさり集めてぎゅうぎゅうに詰め込み
今では民間伝承や古書を紐解き研究され学問化していく「妖怪」について
あまりにもゆっるーいアプローチで編纂された
「いちばんくわしい」
と冠された日本妖怪図鑑

そのなかでも びろーん は現在
著者である佐藤有文氏の創作であるとの見解が大勢を占める
胡散臭さ漂わしまくっている妖怪なのですね

解説文をまるっと引用させて頂くと

この妖怪は、またの名を<ぬりぼとけ>ともいう。
「びろ・びろ・びろーん」という呪文をとなえて、
ほとけさまに化けようとしたところ失敗してこのような姿になったのだ。
全身がコンニャクのように、ぶよぶよしていて、
そのしっぽで人の顔や首をなでる。
塩をかけると、消えていなくなる。

なんてファンタジー・・・
いや、えっ?ぬりぼとけなの?

もう最高に胡散臭いじゃないですか♪

だがしかし根付という観点から見ればですよ

根付がお好きな方なら必ずお手元に一冊はある筈な
角川ソフィア文庫
駒田 牧子 (著)  渡邊 正憲 (監修)
「根付 NETSUKE ジャパノロジー・コレクション 」
税込み¥994
ステマステマ♪リンクは貼らないよ
そちらの147ページをご覧ください

ロサンゼルス・カウンティ美術館蔵の
びろーん の根付が紹介されているのです

しかも作者は
現代根付界屈指のレジェンダリーな根付師
中村雅俊先生なのだ!

という事は?

びろーんは由緒正しい根付の意匠なのであると

そう勝手に断言し胸を張り
至水のびろーんをお届けいたしましたのです♪

しかし雅俊先生が びろーん を彫るに至る経緯って・・・

びろーん が著者である佐藤有文氏の創作で
初出が『いちばんくわしい日本妖怪図鑑』であるとするならば・・・

雅俊先生もこの本を読んで・・・いたの?
なんて
妖怪図鑑に釘付けな雅俊先生の御姿想像してみて

最高にかわいい♪

さて百作目の根付を仕上げた至水ですが

次は弐百作目の根付完成を目指して地道に着実に一歩ずつ
精力的にゴリッゴリの奴等をバッカスカ彫って行きますよと

肝に命じがむばります!



2017年6月30日金曜日

根付 其ノ玖拾玖

『 火車 』
素材 : 鹿角、黒檀



人が死に肉の器を抜け出た魂はあの世を目指す
善行を積んだ者は極楽浄土へ招き入れられ
悪行を重ねた者は地獄で閻魔の裁きを受ける

但し未練を残し命を絶たれた者の魂は別だ
怨みに駆られ縛霊となりこの世に居座り続ける事になる
とりわけ磔獄門に処された罪人の執着は尋常ではない

今日は久しぶりに鈴ヶ森の刑場で罪人が磔にされる

江戸市中で火付けと強盗を繰り返し
上方へ逃れんと素性を偽り立ち入った箱根の関所で下手を打ち
役人までをも手にかけ延べ四十四人を惨殺した大悪党だ

槍が左脇腹を五度貫いた所で事切れた罪人の魂は
罪木に括られた肉体からズルリ滑り落ちた

事切れても尚槍を突き続けられる自らの磔を見上げながら
身を捩らせ怨怒の涙を流し地べたをのたうつ罪人の魂

罪の重さにより磔のまま三日二晩晒されたのちの斬首刑
獄門に処され晒された首が朽ちる頃には
紛うことなき縛霊と成り果てる

筈であった

その夜
この世を呪い縛霊と成り始めた罪人の魂の眼前に
轟々と燃え盛る焔塊を牽いた火車が現れた

獄卒か?

這いずる罪人の魂を見下ろし二ヤリとほくそ笑んだ火車は
磔られた亡骸を罪木から引っ剥がし焔塊に投げ入れた

火焔の狭間に炭化したサレコウベがゆらりと見えた刹那
罪人の魂は鈴ヶ森の刑場から
地獄の広大な審判の間へと突き堕とされた

取り乱す罪人の魂を睨みつけ閻魔が嬉しそうに言う
「貴様裁き甲斐のある亡者だな」

縛霊と成り得る大罪人の亡骸を荼毘に付し
罪深い魂を強制的に地獄に送る
それが火車の仕事だ



という訳で毎度の妄想設定の火車ですよ

火車=猫又説とか
鳥山石燕の猫面火車(いやコレもかっこえぇ)とか
Gallery花影抄ではかぶさんが
猫又絡みの火車を既に手掛けておられる様に
火車と言えば猫なのですが

そこはへそ曲がりな至水さん
今回は佐脇嵩之『百怪図巻』から
こんな猫要素ゼロな火車彫ってみるよ♪





六面図
今回途中経過の写真撮ってなかったのね(涙)





火焔の狭間に
こんがり焼きあがった焦げ焦げサレコウベがゆらり





ヒャッハー!!!
超テンションMAXな火車さん
だって罪深い魂ほど閻魔からの褒美が増えるんだもの





ヒョウ柄の腰巻
あぁっ!!!
猫要素
あるじゃない(汗)
だってヒョウは猫科だもの
やるなぁ佐脇嵩之





サイズはこんな





紐通し
火焔の隙間から紐の結び玉が
きゅっと収納出来るやつ





角度変えて色々と





閻魔の褒美は現物支給の地獄酒
亡者の絶叫悲鳴を丁寧に醸造した超まろい大吟醸♪
根付「火車」完成です

毎回製作に入る前にモチーフについて色々と調べたりするのですが
火車は色々と解釈の幅が広く取れそうで
どの設定を頂こうか散々迷い
結局火の玉牽いてる火車をベースに彫りましたが
やっぱ亡骸を小脇に抱えた鳥山石燕版の猫面火車も超かっこえぇので
そっちもいつか彫りたいですね


今何気に気づいてしまったのですが

次彫る根付って其ノ百じゃないですか

厳密に言えば未完の作も数に入ってるので
百個目という事でもないのですが
一応ブログのナンバリングで行けば其ノ百になる訳で

いやぁ

既に次公開の根付は彫り上がっているのですが
まさか記念すべき其の百の根付がアイツになろうとは・・・



続く(涙)



2017年5月27日土曜日

根付 其ノ玖拾捌

『 付喪れば立達磨 』
素材 : 鹿角、黒檀



あたしが達磨としてこの世に生まれたのは
もうかれこれ二百年前になりますかねぇ

最初の持ち主は直ぐにあたしに関心を無くしましてね
そこん家の蔵に投げ入れられてからどれだけ経ったか・・・

蔵の中には他にもお仲間が沢山居られまして
皆さん陽の目を見られず愚痴言い合って憂さ晴らしの毎日だったですよ

あーそうそう付喪神の話ね
実際にこの目で見たのは蔵に入って何十年経った頃だったかなぁ
隅っこに埋もれてた古木魚さんが動き出しましてね
百鬼夜行に行って来る言うですよ

そもそもね
あたしら「モノ」にはこの世に生まれ出でたその時から
ちゃんと魂が入っとるんですが
長い年月かければ自由に動き回れる
付喪神ってやつになれるって言うじゃないですか

いや噂では聞いていたんですけどね
実際にこの目で見ちゃった時はそりゃもう興奮しましたよ

その後も何品もの先輩方が付喪神になられましてね
いつかあたしもって夢見てたわけですよ

そしたら先日目ぇ覚ましたらね
今までにない感触を四つ感じたですよ

これって手足生えたんだろ?ってね

どうやらあたしもとうとう付喪神になれたぞと
喜び勇んで姿見さんに自分の姿写させてもらったんですよ

そしたらね

まぁあたしも手も足も無い張り子の達磨なもんですから
いつもお隣に居られた立達磨木彫置物さんみたいに
シュッとしたお御足生やしてですね
百鬼夜行を練り歩きてぇなぁなんて
ずっとずーっと恋憧れてたわけですよ?

いやぁ

でもねぇ


盛り過ぎちゃいませんかねぇ

どう思います?

付喪神化被害ファイルより
ケース9109
「絶対神の戯れにより不釣り合いな足を下賜された付喪神達磨の体験談」
全日本付喪神化被害物の会による収録です



って長いって!

前置き長いからっ!!

そして妄想が過ぎる!!!

という訳で納得いかない付喪神立達磨様
彫りますよー♪





鹿角です
今「そんなん立達磨じゃない」って思ったやつ!
一歩前へっ!
歯を食いしばれっ!
ほんとごめんなさい(涙)





六面図
今回のは「長いの彫ろう」と思ったのが事の始まりで
それも手元に縦長の桐箱があったからという理由で(汗)





「あたしゃとことん闘いますよ!」
「最高裁まで?もちろんですよ!!!」





「足っていうか下半身ごと盛りすぎなんですよ!」
「達磨Tシャツから下っ腹出ちゃってるじゃないですか!」
「小力じゃないですか!」
「いやキレてないですよ!」





「尻はキリッと引き締まったプリケツで良かったじゃないですかって?」
「いやそう言う問題んじゃないんですよ!」
「気付いたらいきなりふんどし穿かされててパワハラですよ!」
「あなたならどうです恥ずかしくないですか!」





「とにかくどこからどう見ても不釣り合いな下半身ですから!」
「あたしゃ納得出来んのですよ!」





そんな訳で達磨様は大層御立腹の御様子ですが
紐通しは至水の大好物な
大小ドッカリ開口した紐穴を設けておりますのよ♪





サイズはこんな感じ長いよ





あっ、でも今夜の百鬼夜行には参加します♪
根付「付喪れば立達磨」完成です



前々回に彫った「コレ買う人いるんですか?」的問題作の
根付「尻目」も無事にお買い上げ頂きまして
ホッと胸をなでおろしたばかりだと言うのに
更に今回こんな至水暴走し過ぎでしょと
各方面をハラハラさせる根付をリリースしたりで
最早「至水の根付はどこまで許されるのか」という
正に検証チキンレースの様相を呈している今日この頃なのですが

以前より色々な所で場面で度々書かせて頂いている
「根付は自由」
っていうのはこういう所だと思っていて
もちろん「根付」であるための明確なルールはあるのだけれど
その枠に収めつつそれでも尚「自由」だと思えるのは
こんな奴ら(尻目とかね)が受け入れてもらえる
いや広く受け入れてもらえている訳ではないのは解ってはいますけど
それでも欲してくれる方に巡り合えているという
こんな懐の深い美術工芸って根付しかなくないですか?

そしてそんな好き勝手に彫った根付をですよ
至水の自分よがりの産物をですよ
ハイ売りましょうと軽く英断出来ちゃうGalleryの懐の深さに驚愕
そして感謝なのです

バカでカッケェ根付が彫れる

そんな根付彫りに至水はなりたいの



2017年5月26日金曜日

根付 其ノ玖拾漆

『 爆獏婆垢縛駁 』
素材 : 鹿角、黒檀



- 獏神様御乱心 -

幾千幾万幾億もの夢魔を捕縛昇天させ
夢世界の秩序と安寧を護り続ける幻獣神
獏神様 

常に理知的で悠々たる獏神様であるが
唯一相対すると冷静さを失い
無慈悲な滅殺を執行してしまう仇敵がいる

獏神様の御名と同じ読音を発す名を持つ事により
獏神様の逆鱗に触れ憤怒せしめた其の夢魔の名は
命喰ノ婆垢

朧げな老いさらばえた醜女の姿形で存在し
ヒトの煩悩を誘引する悪夢を植え付け
毎夜悪夢に曝された憑依者を心身ともに衰弱させ
魂さえも潰えさすのだ

今宵も婆垢の眼前に現れた獏神様が
冷ややかな無の表情で口を開く

「ぬしの名を問ふ答えよ」

震える婆垢の唇が僅かに動いたその刹那
逆上自失なされた獏神様の鞭鼻が婆垢を搦めた

其の存在無に帰するまで屠り倒す
夢魔滅殺の宴が始まる



なんて妄想から始まって

今回も最近流行りの
過去作リブートというか
過去作リベンジというか
過去作チャレンジというか

過去作ワンスアゲインな獏

彫りますよ!





鹿角です
最近よくやるのですが
彫り進めつつヤシャ液を筆塗り陰影強調させて
造形の調子確認したりとか刃傷探したりとかしてます





六面図
今回の火焔は結構お気に入り♪





獏神様御乱心!!!
バーサークモード突入で爆獏





獏鼻鷲掴み婆垢絶叫!!!
命喰ノ婆垢消失確定





がっちり捕縛された夢魔命喰ノ婆垢
読みは ユメマ イノチグイ ノ バク です
幻獣神夢魔入り乱れ滅殺の宴が始まるよ!!!





サイズはこんなです





今回の紐穴はなぁ・・・
命喰ノ婆垢の左腕をブリッジにして
自然な紐通し?ってやつですか?
ホントは「THE紐穴」ってくらいの紐穴が
ドカッと口開けてるのが至水の好みなのですけど
意匠的に・・・今回はコレでファイナルアンサーです





あと、色々おまけ画像だよ





我名を汚す婆垢許すまじ
根付「爆獏婆垢縛駁」完成です



作題の話

「爆獏」は、バーサークした獏の事ね
「婆垢」は、最低な夢魔命喰ノ婆垢の事でしょ
「縛」は、獏神様が鞭鼻で婆垢を捕縛してる様で
「駁」は、入り乱れるという意味の字だから

読みは
「ばくばくばくばくばく」

「バスガス爆発」みたいな響きにしたかったのに
「ばく」が一個多かったよね(涙)



あと因みに今回の獏神様は過去作の獏達
のワンサゲインなんだけど

この頃はまだ白熱電球の光で写真撮ってたんだね・・・

うん

時代を感じる(涙)

時の流れを・・・