2017/09/13

根付 其ノ百参

『 河悪童 』
素材 : 鹿角、黒水牛角




妖怪の行動原理なんて人間には到底理解出来るものではない
時に人間にとって善なる振る舞いを見せたと思いきや
時に人間にとって不利益な悪行を働いて見せる
悠久の時を生きる奴等には全てが気紛れ
暇つぶしに過ぎないのだ



一体何があったってんだ
怒号で目が覚めるなんてぇのは
こんな朝っぱらから騒ぎやがって

江戸で荒稼ぎしすぎたもんで上方にシノギの所場変えようって旅の途中
昨日夕暮れに駆け込んだこの村で
一宿一飯世話になった家人にこの騒ぎは何事かと聞いてみれば

ここの集落沿いを流れる河に河童が一匹住みついているとかで
人間の前に現れ奇行を繰り返す度に捕縛しくじり逃げ果せられ
昔から村の住人達を悩ませているらしいのだ

ところが何をどうした事か今朝早く
村で一番の年寄りのお婆に軽々とっ捕まえられたのだと

よしよし少しばかり遠目だが
土間の扉越しに事の顛末を眺めてみるか

お婆の家の傍
やや開けた広場に縛られ正座させられるてるのは
あぁなんだ人っぺぇ・・・獣か?
あれが河童か初めて見るや

河童の前では笑いを止められぬ若い男を連れたお婆が
大声でがなりたてる

見ろ悪童
わしの孫じゃ
もう三日三晩きゃらきゃら笑いっぱなしで眠りもしねぇ
このままじゃぁ笑い死んじまう
孫から引っこ抜いた尻子玉を返ぇせっ

ぼこっ

あぁ河童怒鳴られて頭の皿擂り粉木でひっぱたかれて
上目遣いでオロオロしていやがる

様に見えるが何か引っ掛かる

あの目だ

怯えてい無ぇし心咎めなんざ一切無ぇ
何も思って無ぇ目だありゃ

物心ついた頃から口八丁手八丁何でもひと様から捲き上げて生きて来た
生まれついての騙師のオレにはどんな奴か目を見りゃわかる

不意にお婆からは死角になる河童の左面の瞼が開き騙師の男と目が合った
河童はじぃっと左目だけで騙師の男を凝視している

途端背筋にぞっと悪寒がはしった

うわぁおっかねぇおっかねぇ
何だ?オレを狙ってる目か?まるで蛇に睨まれた蛙じゃねぇか
祟られでもしたらたまんねぇや
のんびりもしてらんねぇがついでだ
今日一日この家の奴をうまい事言い包めて金目のもん頂いて
明日夜が明ける前にずらかるとするか

その夜村の全てが寝静まった頃

一頻り
「捕らわれ叱られてみる戯れ」
を満喫した河童は
コキコキと全ての関節を外し縛縄を抜けると
小躍りしながら何処か村のなか暗闇に消えた
と思いきやすぐまた舞い戻り
お婆の畑に生った胡瓜をもぎって満面の笑みで一齧り

右手には丸々と太った胡瓜を握りしめ

左手には今朝目を付けた「あの人間」の採れたてホヤホヤの尻子玉

両手を交互に見やり満足気な河童の姿が河面に消える頃

真っ暗な村には
尻子玉を抜かれた騙師のきゃらきゃら笑う声が響いていた





あのー

ここ根付彫りブログですよねぇ?

まあぁぁぁぁぁ前振りの長ぇこと長ぇこと
お付き合いさせてごめんなさいね(涙)

結局は

新しく開発した遊び「怒られプレイ」を気紛れに楽しんだ河童が
村人以外のレアな尻子玉までゲットして御満悦なお話

という事ですよね

ハイお待たせ彫りますねー(汗)





鹿角です獣毛付きです差根付です♪





六面図
来たれ差根付ブーム!!!





河童の瞳には人間の下腹部を透かし見て
体内の尻子玉の良し悪しを判別出来る機能が備わっているのダ!

得てして悪党の尻子玉は真っ黒なもので
ランクは低く見られがちなんだけど
アイツの尻子玉のドス黒さは超レア級だったんだよね
そりゃコレクションしたくなる訳だよねわかるわー

はい妄想です妄想妄想・・・





悠久の時を生きる者だもの歴戦の傷とか
色々あるよね
皿の左端ヒビ入っちゃって補修してるんだけど
お婆に擂り粉木でひっぱたかれて右端にも軽いヒビが(涙)





色々と纏めて

正座させられてますけど気持ち的には「無」です
敢えてお婆に捕縛され
そのシチュエーションを味わうという高度な遊びです





サイズ・・・長いよね
差根付だけに





紐を通すとこんな感じで捕縛出来ます♪

おや?
差根付でここ(帯下)に紐通しを設けるっておかしくない?
提物繋いだ状態で帯の上方から差せないもんね?

今回のコレ
帯の下潜らせての装着に特化した
「下から差根付」
という事でお願いします♪

なにそれ普通の根付と一緒じゃーん
差根付の意味無いじゃーん
とかは呑み込んでぐっと堪えてぐっと(涙)

だって根付紐使っての緊縛再現したかったんだもの





差すとこんな感じに
提物の紐の長さ最短で繋ぎましょうね
その方がカッコイイから♪





更なる新しい遊び(暇つぶし)を模索中
根付「河悪童」完成です



最近差根付ブーム来んかなーなんて差根付ばっか彫ってますけど
ホント鹿角の為にある様な根付の形式だと思うし

帯に引っ掛かける部分をどう意匠に落とし込むかという
帯上に露出する作り込まれた最大の見せ場から

帯に挟んでも邪魔にならない様に
デフォルメを凝らした帯裏に隠れる部位へ繋がり

そしてまた帯下に作り込んだ部位が現れるという

一つの根付のなかで部位によってリアリティラインが上下する面白さは
差根付ならではというか
差根付に許された特権の様な気がしているので
単なる「長い型彫り根付」にならない様に意識していたりもして



それと、リアル毛の生えた河童の根付が彫れるって
獣毛付きの鹿角素材だけが持ち得るアドバンテージですよねー♪



あと設定追記とか

「騙師」
騙師(ダマシ)ってのはこの時代の詐欺師の事で
人を殺めたりは絶対しないというポリシーを持ったクズ野郎の事です
そんな言葉無ぇっす

尻子玉抜かれると笑い死ぬ件
尻子玉を抜かれると直腸を起点として
抗えない程の「くすぐられている感覚」が全身に広がり
七日七晩笑い続け終いには死に至るという設定です
確かこれうろ覚えだけど「死に至る」以外はカパエル方式・・・違う?

因みに「河悪童」の読みは「カワッパ」です
厳密には「カゥワッパ」で「ワッ」の部分は吸気しながら発音させます
いやもうホントどうでもいい・・・

どうでもいい?

ホントに?

こういうの好きくない?

至水は大好きー♪



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