2017/12/01

根付 其ノ百漆

『 蠍尾蝙蝠獅子 』
素材 : 鹿角、黒檀、赤瑪瑙



至水・道甫 根付彫刻2人展
FREESTYLE NETSUKE DUNGEON
出品作品其の肆
蠍尾蝙蝠獅子
a.k.a
Manticora

実は今回の二人展のテーマというかキーワードに「RPG」を掲げ
一番最初にイメージした根付がこの獅子の意匠でして

江戸の絵師が実際に見た事のない生物を
姿形特徴等、聞き知った情報だけを頼りに描いた画図ってありますよね

獏とか獅子なんて絵師の想像力と感性を爆発させた
ロマン溢れる想像の斜め上行くローカライズ生物が誕生したりして

例えばその当時
南蛮人の富豪が伝説の生物としてのマンティコアを
日本の根付師に製作依頼してみたらなんて想像してみるとですよ

蝙蝠ノ翼ト蠍ノ尾ヲ持ツ人面ノ獅子ナンダケドネ
チョット You 彫ッチャイナヨゥ!

なんてポポーンと大枚叩いて説明し出した
たどたどしい似非日本語のキーワードを頼りに
こんなん彫っちゃうんじゃないの?

って獅子の根付を彫ってみましょうという目論見です





鹿角です

最終的に獅子の体との質感の違いを出したいので
蝙蝠の羽には出来るだけ鹿角の皮目を残す方向で彫り進めます





六面図

意識的に古典の獅子根付の特徴を盛り込む様に
腿に浮き出るモコモコ体毛表現とか獅子ヅラとか
あと獅子と言えばの巻き毛なのですが
実はゴテゴテ盛り込まれた巻き毛が好みではないので
超控えめにしてしまいました
(ていうかほぼ巻いてない!)






至水の獅子ヅラっていつもこんななの
ミクラスが大好きなんですよねー





片足立で自立するのですが
立たせるには結構な集中力を要します(汗)
「手に取って鑑賞した後に自立させんと必死になる様を愛でる根付」
と言っても過言ではありますまい





サイズはこんな

紐穴は前足と右後ろ脚の間を紐穴の入口にしてあり
結び玉は深くまで入りますので正面からでも見え辛くなっています





犬歯より後方の臼歯部が上下で透かしているのがお分かりでしょうか

口の中は空洞に彫り込んであり赤瑪瑙の玉が入っていて
振ればコロコロと鳴く玉獅子になっているのです

因みに左面の口から彫り進め
玉を入れた後に別パーツの歯牙ブロックを嵌めています





ジャパンローカライズなマイティコアの爆誕です♪
根付「蠍尾蝙蝠獅子」完成です

マンティコアの根付に於けるRPGと古典根付のマッシュアップ
に関しては前半で書かせて頂きましたが

口伝のみを頼りに創造された獅子の根付であるという見立ての他に

古典根付でも彫られている「鵺」の様な
和製キメラのバリエーションとしての
マンティコア=蠍尾蝙蝠獅子
と言う古典根付の意匠があってだな・・・
なんてIFな妄想をしてみたり

フフフフフ

楽すぃ♪

さて次は

今回の二人展出品作品中最も議論を巻き起こすであろう大問題作

ここまでプレイヤーキャラクターとモンスターばかり彫って参りましたが
ファンタジーRPGには欠かせない装備品
アミュレットな根付を製作致します

・・・・・大問題作

続く



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